月経以外の性器出血の総称。带下(おりもの)に出血を伴う場合も不正性器出血とみなす。

【現代医学的な考え方】

1.不正性器出血の分類

1）機能性出血：無排卵性出血(思春期、更年期)

2）器質性出血：子宮筋腫、子宮内膜症、子宮体癌、炎症、外傷など

＜器質性出血の出血部位と主な出血原因＞

①外陰部からの出血：静脈瘤、尖圭コンジローマ、外陰炎など

②膣部からの出血：膣炎(膣トリコモナス症、膣カンジダ症)、異物、老人性膣炎、膣癌など

③子宮頸管からの出血：頸管ポリープ、頸管炎、尖圭コンジローマ、子宮頸癌など

④子宮体部(内膜)からの出血：流産、子宮外妊娠、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮内膜炎、子宮体癌など

【東洋医学的な考え方】

不正性器出血の東洋医学的呼称：「崩漏」または「崩漏下」月経期間以外の出血や月経後に出血が続くもの。

「崩」：急激に大量の出血が起こるもの

「漏」：だらだらと少量の出血が続くもの

1.関連する臓腑：脾、腎、肝、女子胞

   関連する経絡：衝脈、任脈、足の三陰経(肝経、脾経、腎経)

⒉分類

1)脾気虚：飲食・労倦など⇨脾の統血作用の失調

2）腎陽虚：先天の不足·房事過多など⇨腎の封藏作用の低下

3）腎陰虚：慢性病·房事過多など⇨腎の精血に内熱が影響

4）気滯血瘀：月経や産後の寒熱感受や長引く気鬱⇨血瘀⇨衝任脈阻滞⇨胞宮の血過剰⇨肝の蔵血作用の失調

5）肝鬱：悪化すると鬱熱

【当院の不正性器出血の鍼灸治療】

1.自律神経系の機能調整、全身調整及び婦人科の反応点。肝(蔵血)·腎(封藏)·脾(統血)の作用促進、腎(固摂)の作用促進

2.経穴：次髎、関元、命門、三陰交、血海、太渓、太衝